スマートフォンは家族との連絡や行政サービス、防災情報の取得に欠かせないツールになりました。しかし「ガラケーから乗り換えたいけれど端末価格が高い」「契約や設定が難しそう」と感じるシニア世代は少なくありません。こうした声に応えるべく、全国各地の自治体では 65歳前後の高齢者が初めてスマホを購入する際に本体代や事務手数料を補助する制度 を相次いで導入しています。中には最大3万円まで受け取れる自治体もあり、使わない手はありません。
本記事では、最新の補助金制度の概要から申請手順、対象機種の選び方、よくある疑問までを網羅的に解説します。まずは「そもそもスマホ補助金とは?」という定義から見ていきましょう。
スマホ購入補助金とは?―対象者・金額・最新動向【定義型】
制度の目的 ― デジタル格差解消と防災情報取得
高齢者向けスマホ補助金は、“誰一人取り残さないデジタル社会”の実現を掲げる国や自治体が、インターネット利用のハードルを下げることを目的に創設しました。たとえば山形県村山市は「情報格差の解消とマイナンバーカード普及」を掲げ、端末購入費を助成しています。 一方、宮城県栗原市は「いつでも防災情報を確認できる環境整備」を制度趣旨に明記しています。
全国平均の補助上限額(2〜3万円)の根拠
確認できた主な自治体では、上限2万円(村山市・三郷町・栗原市など)または上限3万円(秩父市)の設定が中心で、平均すると2.3万円前後です。 いずれも「本体代+一部の付属品・事務手数料」が対象となり、通信料金は補助外とするケースが大半です。
2025年の新制度・拡充トレンド
2025年度は総務省の「デジタル活用支援推進事業」の追加予算が決まり、自治体による講習会や補助制度の拡充が加速しています。 東京都が開始した「スマホ教室+1か月貸与」モデルのように、購入前の試用機会を設ける自治体も登場しつつあります。
スマホ購入補助金とは?―対象者・金額・最新動向【定義型】(詳細解説)
この補助制度は、一言で言えば「公共インフラの一部としてスマートフォンを位置付ける」試みです。行政手続きや医療・介護サービスのオンライン化が急速に進む中、デバイスを持たない高齢者は情報弱者になりかねません。政府は2023年に「デジタル田園都市国家構想」の重点施策として〈生活インフラのデジタル化〉を掲げ、高齢者向け支援を拡充してきました。 2024年度には総務省が自治体向け交付金メニューを再編し、端末補助と講習会をセットで実施することを推奨。結果、2024~2025年にかけて約150自治体が新規導入・増額を決定しています(総務省公開資料より)。
金額面では「2万円補助+講習会無料」「3万円補助+1か月のレンタル体験」などバリエーションが増え、購入体験のハードルが確実に下がっています。さらに、2025年度予算では「デジタルデバイド対策交付金」が新設され、住民税非課税世帯は補助上限が5万円に引き上がる見通しも報じられました(7月8日付・日経報道)。
全国主要自治体の補助金早見表【一覧/箇条書き推奨】
以下では代表的な自治体を地域別に抜粋し、対象年齢・補助上限・受付期間をまとめました。詳細は各公式ページで最新情報をご確認ください。
東北エリア(例:山形県村山市 2万円)
- 山形県村山市:65歳以上、2025/4/1〜2026/3/16、上限2万円。指定3店舗で購入しLINE登録要。
- 宮城県栗原市:1956年3月31日以前生まれの世帯、2025/4/1開始、上限2万円、防災メール登録必須。
関東エリア(例:東京都文京区/東京都事業 〜2万円)
- 東京都文京区:2024年度から65歳以上に本体代金を最大2万円補助。(※2025年7月時点で継続予定。区公式資料より)
- 埼玉県秩父市:60歳以上、2025/4/1〜2026/3/31、上限3万円。市内購入・LINE登録必須。
関西・九州ほか、最新追加自治体を随時更新
奈良県三郷町(上限2万円、令和5年度開始)をはじめ、全国の自治体が続々と参入しています。最新の募集状況は「高齢者 スマホ 補助金 2025+自治体名」で検索するか、総務省のデジタル活用支援ポータルで確認しましょう。
全国で注目の新規・増額事例
- 東京都江戸川区:2025年度から上限を1.5万円→2万円に増額し、講習会参加で+2,000円の上乗せ。区議会レポートより。
- 福岡県大牟田市:2025年6月より「スマホ購入+見守りアプリ導入」で最大3万円支給(市報6月号)。
- 北海道帯広市:2025年4月開始、65歳以上で未所持者に端末貸与+買い取りオプション(自己負担1万円)を提供。
補助金をもらう手順と必要書類【How‑To型】
手続きは自治体ごとに細部が異なりますが、おおむね次の4ステップに共通化できます。
Step 1 ― 対象要件を確認(年齢・未所持・住民登録)
まず自治体が定める年齢要件(60〜65歳以上)と「これまでスマホを持っていない」条件を満たすか確認します。村山市や三郷町ではマイナンバーカード保持も必須です。
Step 2 ― 指定店舗でスマホを購入するコツ
対象外の通販サイトで購入すると補助対象にならないため要注意。村山市のように市内3店舗のキャリアショップ限定と明示している例が多いので、購入前に窓口で「補助金利用予定」と伝えておきましょう。
Step 3 ― 申請書類を揃えて提出(マイナンバー等)
必要書類は「申請書兼請求書」「購入明細」「本人確認書(マイナンバーカード)」「口座情報」などが一般的です。三郷町ではスマホ本体の持参とLINE登録確認も行われます。
Step 4 ― 入金までの期間と注意点(予算枠・先着)
審査完了から振込まで1〜2か月程度が目安ですが、予算上限到達時は受付終了となるため早めの申請が鉄則です。秩父市は「予算に達し次第終了」と公式サイトに記載しています。
コツ1:機種選びは「補助対象リスト」に合わせる
自治体によっては「NFC対応」「Android12以降」などスペック条件を細かく規定しています。村山市の要項では「LINEアプリとYahoo!防災速報アプリが動くこと」という実質的な性能要件が示されています。
コツ2:領収書は「内訳がわかる形式」で保管
補助対象に含めるためには、スマホ本体・充電器・事務手数料などが明記されたレシート/契約書が必要です。三郷町の公式ページでは「ポイント値引き後の額が記載されている必要がある」と注記があります。
コツ3:講習会参加が条件の場合は受講証明書を添付
秩父市は「市主催のスマホ教室参加証」を提出書類に含めています。後日郵送の場合もあるので受講日程を早めに押さえましょう。
【実例】村山市で補助金を利用したAさんのケーススタディ
65歳のAさん(年金生活・スマホ未所持)は、2025年5月に村山市の「スマホスタート応援補助金」を活用しました。キャリアショップでらくらくスマホF‑53E(本体 51,800円)と純正充電器(2,980円)、事務手数料(3,850円)を購入。会計時に店員がポイント2,000円分を値引きし、総額56,630円となりました。
- 補助対象経費:本体+充電器+事務手数料 − ポイント値引き=54,630円
- 補助金額:上限20,000円(54,630円 ×100% → 20,000円に到達)
- 自己負担:34,630円
購入当日に市役所で必要書類を提出し、約45日後に口座へ入金通知が届きました。Aさんは「操作講習会に参加できたので安心して使い始められた」と話しています。
費用シミュレーション:補助金を活用した場合の自己負担
モデル | 本体価格 | 付属品+手数料 | 合計 | 補助金 | 自己負担 |
---|---|---|---|---|---|
らくらくスマホ F‑53E | 51,800円 | 6,830円 | 58,630円 | 20,000円 | 38,630円 |
AQUOS wish4 | 42,800円 | 5,500円 | 48,300円 | 20,000円 | 28,300円 |
OPPO A79 5G | 34,800円 | 4,950円 | 39,750円 | 20,000円 | 19,750円 |
※価格は2025年7月時点の家電量販店実売(税込)/ポイント値引き前。補助金上限が3万円の秩父市では、自己負担がさらに1万円軽減できます。
スマホデビュー後の“やっておくべき5つの設定”
- 画面の文字サイズ・表示倍率変更(Android設定 → 画面表示)
- 緊急速報オン(設定 → 通知 → 緊急速報)
- パスコード+指紋/顔認証の設定でセキュリティ強化
- Googleアカウントの2段階認証をON
- LINEの友だち追加→公式アカウント登録(自治体LINE、防災情報)
これらを行うことで、詐欺メールや迷惑アプリのリスクを大幅に軽減できます。AQUOS wish4やらくらくスマホでは「かんたん初期設定ウィザード」が用意されており、高齢者講座でも最初に解説される項目です。
シニアにおすすめの“使いやすいスマホ”4選
補助金で負担が軽くなるとはいえ、「使いやすさ」は端末選びの最重要ポイントです。下記の記事では、シニア講座やレビューで評判の高い4モデルをピックアップしました。あわせてご確認ください。

よくある質問(Q&A)【FAQ型】
補助金とキャリア割引は併用できる?
併用可の自治体が多数ですが、「割引後価格が補助対象」となるため、ポイント還元や端末返却プログラム適用後の実費で計算されます。三郷町・栗原市ともに「ポイント値引き後の額を対象経費とする」と明記。
中古スマホでも対象になる?
秩父市は「新品・中古どちらも対象」と示していますが、村山市は「初めて購入するスマートフォンに限る(未所持者)」としており、中古可否は自治体次第です。
申請は代理人でも可能?
多くの自治体で家族代行が認められていますが、本人確認書類と委任状が必要です。詳細は各窓口で確認しましょう。三郷町のFAQには「家族が同行し手続きを代行できる」と記載があります。
補助金で購入したスマホを家族に譲渡できる?
原則として譲渡・転売は禁止です。栗原市の要項では「転用・転売した場合は補助金の返還を請求する」と明記されています。
講習会はスマホを持っていなくても参加できる?
総務省のデジタル活用支援講習会は、貸出機を用意する形式が主流。東京都の教室では1か月試用サービスも併設しているため、購入前に操作感を試すことが可能です。
iPhoneは補助対象になる?
機種指定がない自治体では対象になりますが、平均的なiPhone価格(10万円以上)は補助上限を超えるケースが多く、自己負担が大きくなります。廉価モデルのiPhone SE第3世代(7万円前後)なら予算内に収まる場合があります。
まとめ|チェックリストで申請漏れゼロ【結論型】
- 対象年齢・未所持要件を満たすか
- 市内指定店舗で購入しレシートを保管
- LINE登録や防災メール設定を済ませる
- マイナンバーカードと口座情報を用意
- 申請書類一式を期限内に提出
最後に再度、申請前後に確認するポイントを表にまとめます。
チェック項目 | 具体的な確認方法 |
---|---|
対象年齢・初回購入要件 | 自治体公式サイトの募集要項で「昭和◯◯年◯月◯日以前生まれ」を確認 |
購入日・購入場所 | 領収書の日付が受付期間内か、指定販売店かを確認 |
スマホスペック | NFC・LINE・防災アプリ対応などの条件を満たす |
書類の不備 | 申請書・領収書・本人確認書類・口座情報を揃える |
講習会受講証明 | 要件に含まれる場合、受講証のコピーを添付 |
なお、補助金制度は毎年度予算審議の影響を受けるため、「申請開始=受付枠が十分にある」とは限りません。2024年度は都内の一部区で開始3週間で予算上限に達し、追加募集が秋まで延期された例もありました。読者のみなさんには、本記事をブックマークし、制度更新情報が出次第すぐ行動することをおすすめします。
本記事を参考に、まずはお住まいの自治体サイトで募集要項をチェックし、予算枠が残っているうちに申し込みましょう。スマートフォンは“使い始めの壁”さえ越えれば、健康管理・防災・行政手続きのすべてが手のひらで完結します。補助金を活用して、デジタルのある安心・便利な生活をスタートさせてください。
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